「リザーブ侍」たちの献身があってこその快進撃。日本がWBC3連勝 (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by AP/AFLO

 5日の強化試合・オリックス戦で9回二死から代打起用され、勝ち越しの2点適時三塁打を放った打撃を本戦でも披露すべく、秋山は絶えず準備を整えている。

 正捕手の小林誠司に代打が出た関係で、5回表からマスクを被ったのは大野奨太だった。マウンドには前のイニングから藤浪晋太郎が上がっており、捕手として試合途中から投手をリードする難しさを感じてもおかしくない場面だった。

「初めて試合に出る機会だったのでド緊張したんですけど、アドレナリンを出しながら入っていきました」

 すると、前のイニングではストレートが抜けるなど荒れていた藤浪に対して、比較的コントロールできていたカットボールを中心に要求。見事な手綱さばきで三者連続三振という結果を引き出した。

「(ブルペンで)何回か受けさせてもらっているので、藤浪のいい球を出しながらやっていました。カットボールは主になるボールだと思っていましたし、そのなかでツーシームを使ったり、真っすぐを使ったりバランスよく投げさせれば抑えられるだろうと。普段はどうかわかりませんが、今のボールに対する藤浪は、それが合っていると思いました」

 今大会は戦前に不安視されていた捕手陣のなかから、小林が正捕手として目覚ましい活躍を見せている。必然的にリザーブとなる大野や炭谷銀仁朗の出番は限られるが、大野は「誰が出てもいい」と断言する。

「僕も銀仁朗も誠司を助けられることがあればやっていきたいと思うし、キャッチャーにしかわからない部分も多いので。それを3人で協力しながらやっていけたらいいなと思っています」

 試合中も3人で密にコミュニケーションを取り合い、情報を共有しているという。

 1次リーグを3連勝と、これ以上ない好スタートを切った侍ジャパン。その快進撃の裏では、プロとして当たり前のように準備を重ね、献身的にチームに尽くす男たちの存在があった。

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