「リザーブ侍」たちの献身があってこその快進撃。日本がWBC3連勝 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by AP/AFLO

 キューバ戦、オーストラリア戦の2試合で計22安打を放った侍ジャパンは、スタメン9人全員が安打を記録しており、今のところ短期決戦にありがちな「ブレーキ」の選手は見当たらない。それだけにベンチに控える選手にとって、いつ来るかわからない出番に備えることは至難の業だろう。まして、侍ジャパンに選出されている選手はみな、所属先では主力に君臨しているのだから。

 中国戦で7番・右翼手としてスタメン起用された平田良介は、キューバ戦で守備固めとして起用されたものの、打席に入るのはこの日が初めてだった。

「プレーボールからしっかりゲームに入っていこうと思っていました。絶対に緊張していると思ったので、初球から思い切り振って、緊張を解こうと」

 その言葉通り、平田は第1打席のファーストストライクから豪快にフルスイングして、場内をどよめかせた。結果的にこの日はヒットこそ出なかったが、「感触としては悪くなかった」と振り返る。

 そして、この日の平田は守備で「らしさ」を見せた。3回表、無死一塁の場面で9番・杜暁磊(トゥ・シャオレイ)が放ったライトへのフライに対して、平田はグラブを持った左腕を高く上げ、抜かれるような仕草を見せた。

「(一塁)ランナーが飛び出したので、うまいこと引っかけられたと思った」

 平田の左腕を上げる動作はダミーであり、平凡なフライを捕球した平田は、一塁に向かって大遠投。一塁手・中田翔の足がベースから離れたため併殺とはならなかったが、トリッキーかつ豪快なプレーで場内を大いに沸かせた。

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