ネット裏のMLBスカウトも騒然。千賀滉大が見せた「圧巻の32球」 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Getty Images

 春季キャンプでのブルペン投球では、ストレートも変化球もバラつきが目立ち、はっきりボールとわかる球が多かった。投球練習後には、「上体のブレが大きいので、ブレを抑える一心で。フォームだけを意識して投げています」と語っていた。それから約1カ月。「悩んできましたが、自分のフォームを思い出してしっくりきた」と手応えをつかんだという。

 オーストラリア戦では登板して4球目に初めてフォークを投げたが、ベースのはるか手前でワンバウンドし、コントロールできていなかった。だが、千賀は「フォークのことを言われますけど、(大きくワンバウンドすることは)シーズン中からしょっちゅうありますから」と意に介さない。

 千賀は以前、自身のフォークについて「抜く投げ方はしない」と語っていたことがある。意識することは「手首を曲げないようにする」ことだという。

「抜くタイプのフォークだと、すっぽ抜けると一発を食らいやすいんです。僕はそれがイヤなので、仮に抜けてもチェンジアップのようになって空振りが取れるフォークにしたかったんです」

 一昨年にヤクルトでプレーしたオーストラリアの4番、ミッチェル・デニングに対しては1ストライクを取った後に3球連続でフォークを続け、2回空振りを奪って三振。結局オーストラリアから奪った4三振のうち、2つの結果球はフォークだった。

 ソフトバンクでもチームメートであり、1学年後輩の武田翔太にかつてインタビューした際、千賀のフォークについて聞いてみると、あきれたような口調でこう漏らしていたのが印象的だった。

「あのフォーク......、ちょっとおかしいですよね」

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