人生かかってます。WBCオーストラリアの「就活選手」に気をつけろ

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • photo by Getty Images

WBC1次ラウンド・ライバル国紹介〜オーストラリア

 今から13年前のアテネ五輪。日本代表は金メダルを至上命令に史上初のオールプロで挑んだが、準決勝で敗退。このとき金メダルの夢を断ち切ったのが、オーストラリアだった。

昨年2月に開催されたWBC予選を勝ち上がって本戦出場を果たしたオーストラリア昨年2月に開催されたWBC予選を勝ち上がって本戦出場を果たしたオーストラリア 当時、オーストラリアにプロリーグはなく、野球でメシを食っていくには、選手たちは他国に渡る必要があった。そこでメジャーやアジアのプロリーグと契約を結ぶことができればいいが、それがかなわなかった選手たちは、早々にみずからに見切りをつけ、母国に帰って仕事をしながらアマチュアリーグに参加していた。そのためアテネ五輪当時、トッププロで固められた日本代表がアマチュア軍団に敗れたと大々的に報じられたのだ。

 今回のWBCで日本代表は、1次ラウンドでそのオーストラリアと対戦する。アテネ五輪後、日本とオーストラリアは2007年の北京五輪予選、2009年の第2回WBCと2013年の第3回WBCの直前に最終調整を兼ねた交流試合を行っているが、本戦での"ガチンコ"対決は実に13年ぶりのこととなる。

 当時のメンバーで今大会のロースターに入っている選手は、日本にはいないが、オーストラリアにはふたりいる。アテネ五輪を踏み台にメジャーへの階段を駆け上がったトレント・オルテン(元ドジャースなど)と、アテネで準決勝の先発マウンドに立ち、日本の夢を打ち砕いたクリス・オクスプリングだ。

 オクスプリングもあの試合を踏み台に、2005年にメジャー初昇格を遂げると、その翌年には日本との準決勝で完封リレーを演じたジェフ・ウィリアムスのいる阪神に移籍した。ローテーション投手として期待されたが、結局、阪神では4勝しか挙げられず、このシーズン限りでリリースされたが、その後、韓国プロ野球で5シーズンプレーし、通算49勝を挙げている。

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