亡命で戦力ダウン。WBCの
「小粒なキューバ」は本当に怖くないのか

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Getty Images

 サントスは俊足好打の左打者。相手の油断を瞬時に感じ取り、セーフティバントを決めてくる。2番のマンドゥレイはバットコントロールが巧みな攻撃的2番。当然のことではあるが、このふたりが出塁するかどうかで、得点力が大きく変わる。

 ただそのあとが、3番・セペダ(元巨人)、4番がデスパイネというのが、ある意味寂しい。無論、昨季にデスパイネがロッテで残した数字(24本、92打点)を見れば起用されても不思議はないが、しかし指名打者ではなくレフトに入る見込みだ。それほど選手がいないというのか。

 資料によれば、2014年から昨季までの3年間で、22名の選手が亡命したという。それでレベルをキープしろという方が無理な注文かもしれない。

 3番、4番のあとの打者たちは総じてスイングが粗く、確実性に欠ける。それでいて一発でスタンドに運ぶパワーもない。強いて挙げれば、2月20日の台湾との練習試合でアラルコンが放ったレフトへの本塁打は見事だった。キャッチャーは他にもベテランのモレホンもいる。併用になるだろうが、打撃は間違いなくアラルコンが勝っている。

 セペダ、デスパイネ、アラルコン。日本からすれば、この3選手を軸にする攻撃陣をいかに寸断できるかで、試合の流れを大きく呼び込むことができる。

 他の選手たちで留意すべきは足だ。盗塁のみならず、サントス、グラシアル、セスペデスらのダイナミックなすべての走塁は、ヒットよりも威圧感がある。

 守備と走塁。これは破壊力がおとなしくなったキューバにあって、いまだ健在な武器だ。

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