伝説の豪腕・山口高志が藤浪晋太郎に見た「世界デビュー」の予感 (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Getty Images

 また投球のコース別の割合を見ても、外角低めが最も高く30.1%、次いで内角高めの13.4%となる。藤浪は変化量の多い球や落ちる系のボールが少ないため、投球の基本であるインハイとアウトローの対角線を軸とした攻めが中心になる。これはWBCの舞台でも変わらないだろう。

 ちなみに対左打者の被打率を見ると、低い順に外角低め(.163)、外角高め(.186)、内角低め(.193)。コース別の割合は高い順に、内角低め(20.3%)、外角高め(19.7%)、外角低め(15.7%)となっている。ここからはひざ元へのカットボールとアウトハイのストレートで勝負という構図が浮かぶ。

 右打者にしても左打者にしても、"そこ"にどれだけ投げ切れるかが重要になってくるが、山口氏は「去年まではもっと体を大きく使って横回転で出てくる感じもあったけど、今年はコンパクトにタテに体を使えているイメージがある。制球が安定すると思います」と期待を口にした。

 当然、そこに投げ切るためには制球力はもちろん、WBC球への対応力も求められる。ボールに関しては、何人かの投手はいまだに苦労しているが、藤浪は「普段よりも曲がりが大きいので、そこをどう制御するか」といった話が主で、特に苦しんでいる様子はない。代表メンバーに事前に支給されていた2ダースに加え、自費で2ダースを追加で購入するなど、入念に準備してきた。

「藤浪は納得したらとことんやるタイプ。逆に、納得しないときの難しさはあったけどね(笑)。WBCに向けて、準備は誰よりもやってきたんじゃないですか」

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