大田泰示、新天地で大いに語る「プロ野球の世界でも一番になりたい」 (4ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 田口有史●写真 photo by Taguchi Yukihito

 それは試行錯誤なのか、あるいは暗中模索だったのか。疑いようのないポテンシャルは誰もが認めていたが、それでも結果が出ない大田は幾度となく、フォーム改造に取り組んで......いや、取り組まされてきた。

「シーズン中にバッティングを変えたり、構えを変えたり、打ち方を変えたり......もちろん、周りの方々がよかれと思って提案してくれたことではあるんですけど、そこで変えるということは、前に取り組んできたことを自分がやり遂げていなかったということにもなるじゃないですか。変えてきたことが、果たして僕の成長につながったのか。確かに引き出しは増えたかもしれませんけど、ひとつのことをやり遂げなかったというのは、僕にとっては悔いが残ることなんです。右往左往して、違った感覚が出てきて、ああでもない、こうでもないと思ってしまうのが僕のダメなところだった。せっかくトレードでチームが変わったのに、それでも同じことをやっていたら、レギュラーなんて獲れないでしょう。今は、自分で信念を持ってひとつのことをやり遂げることが大事だと思ってます」

 8年もの間、大田がジャイアンツで陥ってしまった負のスパイラル。期待されていると言われながら、あり余る戦力のせいで、結果が出ないと使い続けてもらえない。限られたチャンスの中で結果を求めれば、バッティングが小さくなり、持ち味を生かすことができなくなる。そんな悪循環に、ファイターズでは陥りにくくなるはずだ。限られた戦力を最大限に使い切ろうとするチームで、大田には間違いなくチャンスはあるし、我慢して起用し続けてもらえる可能性は高い。実際、栗山英樹監督も「大田泰示のことを絶対にブレイクさせてやる」と明言している。しかし大田はこう言ってのけた。

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