中田翔、札幌ドームで3本からの脱却。
「打ちたいよね、40本」

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「テレビなんかでオレが(翔平には消えてほしいなど)冗談っぽく話すときもあったけど、ホントのところは何とも思ってない。翔平が打つ方もすごいというのは誰もがわかっていることだしね」

 はたして、それは本音なのだろうか。

「そうだよ。プロは自分がやることをやればいいわけで、お金を稼ぐのは自分だから。だから翔平が打ったからどうこうというのはないよね」

 そう淡々と語る中田だが、心中は穏やかではなかったのではないか。スラッガーとして、大谷のあの打球、あの飛距離を見せつけられると、刺激を受けないはずがないと思うのだが......。

「翔平から刺激? そういうのは、オレ、本当にないんだよなぁ。『コイツすげぇなぁ』って思うだけで、オレが刺激を受ける対象じゃない。パワーもえぐいよ。でも、翔平を見て『オレも負けられん』みたいなことにはならない」

 目の当たりにしてきた大谷のあまりの能力のすごさが対象外とさせるのか。もしくは、二刀流の大谷をライバルとして捉えることができないのか。すると中田は突然、こう口にした。

筒香(嘉智)を見ている方が刺激はあるよね」

 日本代表でクリーンアップを組み、普段はともにチームの4番を打ち、年齢も大谷に比べれば近い。置かれている環境、立場など、通じるものがある。

「年齢とかは関係ない。それに、ゴウ(筒香)とオレって、立場は似ている? そうかなぁ......。翔平とゴウって、ともにすごい選手だよ。すごいんだけど、スケールってことを考えれば、やっぱり翔平が上かなと、オレは思う。だけど、オレが刺激を受けるのはゴウ。やっぱり、翔平はそれだけ抜けた存在ということなのかな」

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