「WBCはテキトーにやりますよ」。
中田翔がそう繰り返す真意は?

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 それは無駄な力が抜けるという意味なのだろうか。

「力が抜けるというか、あのとき、最初は6番か7番を打って、最後はゴウ(筒香嘉智)が4番で、オレが5番。言い方は悪いですけど『オレが打たんでも誰かが打つやろう』ぐらいの気持ちでした。本当のところはそうじゃないんですけど、ベンチでも『一発狙いの豪快な空振りして、相手をびびらせてくるわ』と言って打席に入ったらホームランとかね。あれぐらいがオレにはいいんだろうなと。『頑張ろう』『頑張らないといけない』というのは、オレはダメなんだろうね。とにかく考えすぎず、でも気持ちは攻めるみたいな感じで、いつも通りできるかどうか。ここがいちばん大事やと思います。まあ、適当にやりますよ」

 日の丸を背負い、世界の頂点を決める極限の舞台。中田への期待も最高潮に高まるなか、どこまで心をコントロールできるのか。日本の頼れる主砲となるカギはここにある。

(後編につづく)

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