「WBCはテキトーにやりますよ」。
中田翔がそう繰り返す真意は?

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 WBCの話題を続けながら、頭はシーズンへとつながっていく。

「でも、ホント難しい。ひとりの選手として考えると、やっぱりシーズンでどう活躍するかというのがあるから。WBCで活躍したけど、ヘッドスライディングをしてケガしました、では話にならない。プロ野球選手として『なにやってるんだ』という話になるから。調整もそうだけど、戦いも本当に難しいよ」

 メジャー組もシーズン最優先の考えから不参加が続き、国内組では大谷翔平が故障により不参加。あらためて日本代表というチームづくりの難しさが浮き彫りとなった。中田は言う。

「マスコミやファンの方には『平等に見てよ』っていう思いはあります。『誰と誰が注目』というのではなく、みんな日本代表なんだから、そういう目でチームを見てほしいですね。今回は(大谷)翔平に注目が集まっていて、出ないとなったら、じゃあ、オレとか筒香(嘉智)とか、山田(哲人)とか坂本さんにくる。平等に全員を見てほしいというのが本音です」

 当然、WBCでの日本代表の戦いによっては「大谷がいれば......」という声も聞こえてくるかもしれない。

「翔平も大変だと思うけど、オレらもね......。でも、オレってそういう星の下に生まれていると思うんですよ。変なことに気を遣ったりとか、振り回されながら人生送ったりとか(笑)。まあ、適当にやりますよ」

 そう言いながら、それができないのが中田だと思うのだが、自らに言い聞かせるように「適当に」を繰り返した。

「いや、ホントにね、適当にやるのがいちばんいいんですよ。プレミア12のときもそれで結果がよかったから(28打数12安打、15打点、3本塁打)」

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