ルーキー加入で激化。7人の西武ショート定位置争いを制するのは誰だ (2ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

「基本的に何でも負けたくないんですけど、個人個人にできることとできないことがありますから。自分の特徴を生かした守備、意外と強いボールを投げられるんだというところを見せたいと思っています」

 プロ6年目、今季で24歳になる永江恭平は、淡々とした口調で自分のアピールポイントを語った。守備力は高校を卒業したばかりの1年目から高く評価されてきた。高校時代は投手もしており、最速149キロをマークした強肩は大きな武器になっている。

 あとは誰もがこう思っているはずだ。「バッティングさえ向上すれば......」と。永江本人もそのことは痛いほど自覚している。

「去年まで、打席に立つのが怖いというか、守備中とは違う感覚がありました。やっぱり『バッティングさえ......』という意識はあるのかなと。バッティング自体は別に嫌ではないのですが、打てない自分を見るのが怖かったのだと思います」

 昨季まで一軍で340打席に立って、通算打率.152。放った安打は44本に留まっているのに対し、喫した三振は113もある。それでも、2015年の春にはファームで3番を打つなど、成長の兆しを見せた時期もあった。

 今キャンプでも、重厚な下半身でボールを呼び込み、センター中心に強く弾き返す打撃は印象に残った。昨年、打席で抱いた「怖さ」は今のところ感じていないという。

 そして、永江は静かに胸の内を明かしてくれた。

「僕は小さい頃から人を喜ばせることが好きだったのですが、プロでは堅くやり過ぎていたのかなと。今年はファンの人を喜ばせるようなプレーをしたいと思っているんです。決して雑なプレーをするという意味ではなくて、『永江はあそこまでアウトにしてくれるんだ!』と見ていてワクワクしてもらえるような。今年はそんなショートになりたいですね」

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