栗山監督が4年間、考えてきた「大谷翔平、メジャー挑戦への条件」 (5ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro

── もはや日本では二刀流を疑問視する声もほとんど聞こえなくなってきました。

「そういうことでやりやすい環境を作るのは、去年のシーズンで終わったと思う。誰が見ても、これはしょうがないというところまで突出してくれた。そういう"伝説"を作ったのが去年だったわけで、今年、ようやく翔平が本当に野球と向き合えるときが来たなという感じがしていたからね。痛めた右足首については、本人も我々も、年明けから順調に痛みは消えていくものだと考えていたし、そういう意味ではすべての責任はぼくにある。翔平をWBCに送り出せなかったのは本当に申し訳ないと思っています。

── 大谷選手も「今は目標を見失っている、切り替えるのは難しい」と話していました。

「こういうときだからこそ、痛む足のことも含めて、翔平が、翔平自身の野球と向き合って、結果を出せば優勝に近づく。ただそれだけっていうシンプルな環境を自分で作り上げた。それが今の翔平の雰囲気とか発言に出てるよね。自分がやっていることが特別なことで、だから周りに気を遣わなきゃならないというところが消えて、『さあ、ぼくは自分らしく、まっすぐに歩いていきますよ』って感じ。安堵感と自信。何があっても本当にゆったりとしていて、大谷翔平らしくいた。ああ、よかったなって......そういう姿を見ると、すごくホッとするんだよね」

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