栗山監督が4年間、考えてきた「大谷翔平、メジャー挑戦への条件」 (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro

── メジャーでの二刀流を実現させるためには、何が一番大事なんですか。

「その答えは、ひとつじゃない。これができたら、なんていう単純なものじゃないよね。その答えをぼくも4年間、探し続けたけど、結局、その答えが毎日、違う。昨日の正解が、今日は正解じゃない。だから、壊れないようにウエイトでしっかりと体を作る。でも、それでしなやかさがなくなる。しなやかな動きもできるようにしておかなきゃいけない。強くしながら、しなやかさをなくさない......そこのバランスをどう取るのか。これが非常に難しいんだよ。常に両方のことを考えながら、表裏一体の答えを探して、探して、探していく。そんな中から、知恵が生まれる。それも、シーズンが押し迫って、緊張する中でやれば違った疲れがたまって、また答えが全部、違ってきちゃう。その繰り返しだよね。

 メジャーと言っても、どのチームに行くのかによっていろんなことが違ってくるだろうし、いつも同じ答えがない中で、そのチームの人たちが、そのときの答えを見つけられるかどうか。もちろん翔平には、体力を上げよう、技術を上げようと、必死にてっぺんを目指して進んでもらうしかない。ただ、こっちは彼が気づかないものを考えながら、こうしてあげたらいいのかな、というものをいつも探している」

── 大谷選手がいま"大学院"の段階だとすると、修了試験、その合否は何を基準に考えていますか。

「翔平の気持ちだけだね。自分の中で、行ける、次のステップを踏みたいと本当に思えたときは修了でいいんじゃないかな。周り......いや、ぼくが見ちゃうと、いつまでもやらなきゃいけないことが終わらないからね(笑)。でも、本当はもう、メジャーでプレーするための最低限のラインには来てるんだよ。だから、あとは本人の気持ち次第。そう思うタイミングが来たら、そのときが院の修了の目安になるんじゃないかな」

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る