元ホークス斉藤和巳が今だから話せる、復帰を目指した地獄の日々 (6ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Kyodo News 協力●寺崎江月

――今後も肩や肘を故障して手術に踏み切る選手はたくさんいるでしょうし、手術→リハビリが当たり前の時代になりつつあります。同じ立場のピッチャーにどんなアドバイスを送りますか。

斉藤 ときどき、一緒にリハビリしていた若いピッチャーから連絡があって、「斉藤さん、いまこんな状態なんですけど、どう思います?」と聞かれることがあります。でも、個人個人の感覚があるので「俺の場合はこうだった」とは言えても、あまりいいアドバイスはできません。ただ、「リハビリに絶対はないよ」とは言います。

――「リハビリに絶対はない」とは、どういうことですか。

斉藤 痛みの感じ方は人それぞれです。1と感じる人も10と感じる人もいる。痛みは数値化できないので難しい。「こういう感じかな?」と自分で日々確かめながら、用心深く、地道にやっていくしかないのです。

――いくら覚悟を決めていても、単調な日々で心が折れる選手もいるでしょうね。

斉藤 そうかもしれません。でも、手術することを決めるのは本人ですから。手術という選択をしたのなら、その責任は本人にあります。痛いから、つらいからやめるのは「それは違うやろ?」とは言います。「自分がしたいから手術したのに、なんで泣き言を言うの?」「そんなの、最初からわかってたことやろ?」と。リハビリは全部が大変。楽なリハビリなんてありません。

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