167cmの日本ハム・谷元圭介を1億円投手にのし上げたマウンド度胸 (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 村上庄吾●撮影 photo by Murakami Syogo

 同じ理由で、社会人野球の強豪チームからも声はかからず、新潟にある薬品卸売会社のバイタルネットに入社した。入社後しばらくは、野球のみに集中することができない環境に苦しんだという。

「野球部といえども、勤務時間は他の社員と変わりませんでした。お昼から練習できるのは週に1度だけ。その練習にあてられた時間の分を、残りの4日間でカバーするために7時半から17時まで仕事をしていました。給料も練習費用に消えましたし、心が折れそうになったこともありましたね」

 しかし、そこを耐えて努力を続けたことが徐々に結果となって表れはじめる。シーズン1年目の秋からエースとして活躍し、140km台前半だった球速が147kmを計測するまでにアップした。そして、入社2年目の2008年、日本ハムの入団テストに合格した後、ドラフト7位で同球団に指名された。

 日本ハムが獲得に踏み切った背景には、武田久という偉大なる前例がいたことが大きかっただろう。170 cmの低身長を活かした、低い重心から投げるストレートと多彩な変化球を駆使し、長年チームのセットアッパー、クローザーを務めてきた。

「武田さんのフォームなどを真似するということはありませんでしたが、ずっと心の支えになっていました。プロ入りを諦めなかったのも、武田さんの存在が大きかったです」

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