育つまでガマンできなかった巨人。「30億円大補強」は吉と出るのか

  • 深海正●文 text by Fukami Tadashi
  • photo by Kyodo News

 巨人が大型補強を敢行した。2015年のシーズン後は目立った動きがなかっただけに、今オフの積極性が余計に際立つ。静かだった1年前を振り返り、堤辰佳ゼネラルマネジャー(GM)は「自前の選手で勝ち抜いてほしい気持ちが強かった」と言うが、今は「補強ポイントを埋める作業をやっている」と語るように、着々と戦力を上積みさせた。

日本ハムから巨人にFA移籍した陽岱鋼(写真右)日本ハムから巨人にFA移籍した陽岱鋼(写真右) 高橋由伸監督1年目の2016年は、ギャレット、クルーズとふたりの実績ある外国人が加わったが、ほかに大きな新戦力はいなかった。2015年10月に野球賭博問題が発覚し、その影響で補強に手を打てなかった面もあるが、三軍を創設するなど育成にも力を入れていた。

 ただ、期待した若手の大きな台頭はなく、主力の故障も目立ち、広島に大きく離されたままシーズンが終わってしまった。7月には球団運営に大きな影響力を持つ読売新聞社の渡邉恒雄主筆が「補強していない。これで勝てといっても無理。(高橋監督の)責任ではない」とまで言い放った。

 2年連続して2位に終わったことで、優勝を義務づけられたチームはかつてのように豊富な資金力、さらにはブランド力を駆使し、次々と主力クラスの獲得に踏み切ったのだ。

 まずは11月上旬に日本ハムの吉川光夫、石川慎吾を相手に、大田泰示、公文克彦とのトレードを成功させる。特に吉川の獲得には、手薄だった左の先発陣の強化を図る狙いがあった。

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