元メジャースカウトが語る「大谷翔平、メジャーでも二刀流」のハードル (4ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

 そうなのだ。

 日本でもそうだったように、メジャーでも野球人たちの先入観を捨てさせるのは容易ではない。ピッチャーは自分主導だから、メジャーで結果を出すのに時間はかからないかもしれないが、相手のあるバッターはそういうわけにはいかない。対戦するピッチャーの数が日本に比べて圧倒的に多く、そのすべてが知らないピッチャーとあっては、相手を知って打つタイプの大谷がすぐに結果を出すのは至難の業だろう。ピッチャーとしてローテーションを守りながら、バッターとして3年ガマンして使い続けてくれる球団があるのか、ないのか――大谷自身が二刀流を望む限り、求められるのは、大谷の実力よりも前に、先入観を捨てて二刀流を具現化しようとするメジャー球団なのである。つまりこれは、ファイターズのようなオペレーションのできるチームが、果たしてMLBにあるのか、という話なのだ。小島がこう続けた。

「DH制のあるア・リーグでは、メジャー1年目から結果を残せなければ、すぐに『バッターはもういいだろう』ということになってしまいます。ですから、二刀流をメジャーに認めさせるためにはナ・リーグでピッチャーとして打席に立ったほうがいいのかもしれませんね。最初は『9番、ピッチャー』で、ピッチャーのくせにやたらと打つことを見せつける。そのうち大谷くんが投げるときは8番になって、やがては7番になる。行きつく先がメジャーでの『5番、ピッチャー大谷』なんて、カッコいいじゃないですか」

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