戦力外→打撃投手の久本祐一が語る「落合GMから直電」の深い意味 (2ページ目)

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu


── なぜ、そのような方針変更をしてまでテレビ出演を?

久本 (中日の)落合GMから「打撃投手をやってくれないか?」という直電があった話を、どうしても全国レベルで、お伝えしたかったからです。昨今の報道などでは、落合さんの印象は悪く見られがちじゃないですか。でも実際は違うんですよ。世間の印象と実際は違うことを僕たちが言っていかないとダメなのかなと。もちろん、落合さんへの感謝もあります。それで家族ともども番組出演をさせていただきました」

── 落合GMとは携帯電話でやりとりする仲だったんですか?

久本 いやいや、とんでもない。そんな関係ではまったくないです。もともとは今季終了後、広島を戦力外になった直後に、中日の編成の方から「バッティングピッチャーでやってくれないか?」との打診があったんです。でも、お断りしました。まだ僕には現役へのこだわりがあったので......。トライアウトを受けることを告げると、「その間に、この話は流れてしまうかもしれないよ」とも言われたのですが、それでも構いませんと返事をしました。

── そして、現役続行をかけて11月12日のトライアウトに臨みます。

久本 今年のトライアウトは土曜日だったんですが、周囲の関係者には翌々日からの2日間で何も連絡がなければ不合格だと言われていました。つまり、週明けの月曜と火曜が勝負だと。まさに年末恒例の戦力外通告のテレビ番組に出てくる、おなじみの電話が鳴るシーンが頭に浮かびましたね。合格の電話がかかってくるんじゃないか、今か今かと手ぐすね引いて待っていたのですが......。

── 残念ながら、吉報は届かなかったのですね。

久本 どこからも、何の連絡もないまま2日間が過ぎた火曜日、夜11時くらいに突然、電話が鳴ったんです。着信表示は、先ほど申し上げた中日の編成の方の番号でした。電話を取ると、すぐに「今から落合GMに代わるから」と言われて......。

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