2016.12.12

短すぎた絶頂期。「しくじりエース」
小松聖が若手に伝えたいこと

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Sportiva

 短すぎた"絶頂期"。その理由について小松は「ひとつではないと思うんですが......」としばらく考え、「コンディション的にベストではなかったことはありました」と語った。

「(3年目の)開幕戦もそこまで悪くはなかったんです。ただ、出鼻をくじかれた格好になって、そこからコンディションが整わなかった。技術面も、メカニック的に、はまることなく投げてしまったというか......。フォームの形ができていないのに投げるから、全然いいボールがいかない。それでいい球を投げようとして力むから、上体が暴れて余計にいかなくなる。ピッチャーの悪循環の典型ですね」

「フォームの形ができていない」── その理由として思い浮かぶのが、2009年の3月に開催されたWBCだ。前年の好成績が認められ、小松は日本代表の一員として戦った。当然、調整も早まり、普段とは違うスケジュール、特別な環境のなかでのプレーを強いられた。さらに、使用するボールもマウンドもストライクゾーンも違う。

 結局、本戦で登板したのは1試合のみだったが、そのことで実戦感覚不足を指摘する声もあった。

 実は、この3年目のシーズン中、ファームで調整を続けていた小松を取材していた。この時の小松は、調子の上がらない現状とWBCを安易に結び付けられることを避けたかったのだろう。何度も「それは関係ないと思います」と言っていたのが印象的だった。

 引退した今、あらためて小松に聞いたが、その答えは変わらなかった。

「WBCの影響は本当になかったと思います。オープン戦も感じよく投げられましたし......」