2017新人王にロッテ1位・佐々木千隼が最有力である2つの根拠 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

 明治神宮大会での佐々木は、見るからに状態が悪そうだった。ストレートが走らず、スライダー、シンカーに頼るピッチングに終始した。初めて佐々木を見た観戦者は、もしかしたら「こんなものなのか」と思ったかもしれない。

 状態が悪かったのも無理もない。佐々木は今年1年、年間通して投げ続けてきた。春・秋のリーグ戦だけで合計126回1/3を投げ、夏は大学日本代表として日米大学選手権で投げ、秋のリーグ戦後には明治神宮大会の出場権を決める横浜市長杯で2試合完投している。疲れが溜まらないほうがおかしい状況だった。

 しかし特筆すべきは、これだけ登板していながら、佐々木が崩れた試合はほとんどなかったということだ。

 桜美林大で佐々木とバッテリーを組んだ大平達樹(3年)は、佐々木のゲームメイクのうまさを絶賛する。

「初球でストライクを取れる確率が高いので、キャッチャーとしてはすごく助かっています。去年まで僕はレギュラーではなかったのでバッテリーを組んでいなかったんですけど、佐々木さんが試合中に崩れるところも見ていました。でも、今年はほとんどそういうシーンがありません。1点取られても、そこから踏ん張れるのが悪いなりに抑えられる要因なのかなと。ピンチの状況でも崩れないのはすごいです」

 1点を失っても、ビッグイニングにさせない。勝負どころでスイッチを切り換えてランナーをホームに還さない。佐々木は、まさに「勝てる投手」の共通点をすでに備えているのだ。

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