ドラ1位・田中正義の剛球を受けて感じた「リリーフなら無敵では?」 (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

 田中は大学2年で150キロ台を連発し、リーグ戦、大学選手権の快投で一気に全国区へと躍り出た。さらに、昨年夏のNPB選抜戦ではプロの若手相手に7者連続三振を奪い、アマチュア球界ナンバーワン投手の地位を確固たるものにした。

 しかしそれ以前は、創価高校時代も含め、右肩の故障を抱えており、ほとんど実戦登板をしていない。今季も春先からの右肩痛と夏場の太もも肉離れがあって、投げ込み、走り込みとも、本人が納得するほどできなかったのが実情だ。

 つまり、中身は"実働2年"の投手初心者に近いというのが本当のところ。それでもあれだけの球威を投げてしまうのだから、その可能性は計り知れない。

 プロ1年目はまず体の立て直しを最優先すべきだろう。昨年のドラフト1位・高橋純平もふくらはぎの肉離れを抱えての入団だったが、ソフトバンクは急がなかった。ウエスタンリーグでの登板も控えて、近い将来フル回転できるための体力アップを第一に考えたのだ。

 ならば、田中も勝負は夏場とみる。チームの先輩である武田翔太がそうだったように、春から夏にかけてファームで培った体力と実戦力をオールスター前後から一気に爆発させ、後半戦の勝負どころでソフトバンク投手陣の救世主となるのではないか。

 今季、ソフトバンクの先発陣は15勝の和田毅を筆頭に、武田翔太が14勝、千賀滉大も12勝と3人の2ケタ投手を出した。当然、田中にも先発陣の一角として大きな期待が寄せられている。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る