「戦力外通告の男」がメジャー目前に。中後悠平が語る波乱万丈の1年 (7ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Sportiva

「たぶん、日本人の野球選手のなかで、いちばん内容の濃い1年を過ごしたんじゃないかと思っているんです」

 そういって愉快そうに笑った。そこで、来季のさらなる活躍する姿も浮かんでくるが、意外な反応が返ってきた。

「来年のメジャーですか? 無理でしょう。今年だってメジャー間近とか言われましたけど、3Aでたかだか13試合に投げただけ。そんな甘くないですよ」

 アメリカ野球の深さと大きさ。迂闊(うかつ)に「メジャー」を口にできない実感も、今年1年間の戦いのなかで学んだのだろう。そんな波乱万丈の1年を過ごした中後だが、最後はこんな寂しさを口にした。

「子どもなんて、僕の顔を平気で忘れていましたからね。『母ちゃんはオレのもんや!』『お前、誰や!』みたいな感じで見られて。しばらくこっちにいて、やっと最近は認識されてきましたけど、またすぐに忘れられますよ」

 しばらく家族との時間を過ごしながら勝負の2年目へ。はたして来るべきシーズン、海の向こうで活躍する父の姿は伝わってくるのだろうか。

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