「戦力外通告の男」がメジャー目前に。
中後悠平が語る波乱万丈の1年

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Sportiva

「4年目は、イースタンでの防御率は2.37で、途中までは1点台でした。フォアボールも問題にされるほど多くなかったんですけど、(上から)一度も呼ばれなかったですね」

 違う意味でプロの厳しさを感じたなかでの解雇。思うところはいろいろあったが、制球難のイメージが首脳陣についていたことは否めなかった。アメリカでその点についてはどうだったのか。

「リリーフで左の変則タイプはいますけど、そのなかで僕はまとまっている方だと思います。僕よりひどい投手はいますから(笑)。それに140キロ台中盤が出ても、フォームの割に球が素直だったり、変化球に特徴がなかったり......。アメリカはチェンジアップが主流ですけど、左打者に対してチェンジアップを投げられない左投手が結構います」

 中後にはキレに絶対の自信を持つスライダーがある。さらに、日本では左打者に対してチェンジアップを投げることは少なかったが、今はそのボールを左打者のインコースに投げる意識が格段に強まったという。

「チェンジアップはもちろん、真っすぐとツーシームもインコースの低めに投げる。ただ、左打者へのインコースは、審判がなかなかストライクを取ってくれない。ただでさえアメリカはインコースのストライクゾーンが狭いですから。そのなかで、どうバッターを動かして振らせられるかが勝負ですね」

 その意図を、中後は次のように説明した。

「アメリカは初球から振ってくるので、ファウルを打たせたら勝ちと思って投げています。低めのボールはこれまで感覚頼みみたいなところがあったのですが、今はある程度、狙って投げられるようになりました」

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