米国スカウトが見た、大谷、筒香、山田、千賀、イチローのWBC戦力度 (6ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 小池義弘、田口有史●写真 photo by Koike Yoshihiro、Taguchi Yukihito

今シーズン、メジャー通算3000本安打を達成したイチロー今シーズン、メジャー通算3000本安打を達成したイチロー

●イチロー(マーリンズ)

 最後に、WBCでの"隠し玉"といったら失礼ですが、イチローがジャパンに入ることのメリットを挙げたいと思います。

 結論から言えば、イチローがピンチランナー(代走)で起用されたら、他国にとってこれほどの脅威はないと思います。なぜなら彼は、メジャーで多くの投手と対戦しており、感覚的にフォームの特徴やクセなどを熟知している選手です。

 メジャーのクローザー、なかでも右投手はけん制やクイックが苦手な選手が多い。「走者を許しても、点さえやらなければいい」というメンタリティーで投げているからです。そんな投手が相手でも、初めて対戦した場合、瞬時に対応できるかといったら難しいと思います。情報がないこともありますが、メジャーのけん制は日本だったらボークを宣告されるギリギリまで許されています。そうしたこともイチローは十分にわかっています。

 1点を争う終盤にイチローがピンチランナーに出て一塁に立ったとしたら、それだけで相手はプレッシャーがかかります。一方のイチローは、どんな緊迫した場面でも、あの走力とデータを駆使して盗塁を決めるでしょう。

 そればかりでなく、若い選手たちに直接アドバイスするメリットは計り知れません。日本は素晴らしいデータを準備するでしょうが、それだけでなく同じ選手だからこそ伝えられる感覚的なものがある。イチローが加わることで、それを山田哲人や秋山翔吾といった若手に伝えることができる。それだけでも大きなメリットだと思います。

 代走としてのイチローは、非現実的ではありますが、アメリカやドミニカなどからすれば、一番の脅威ですよ。

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