米国スカウトが見た、大谷、筒香、山田、千賀、イチローのWBC戦力度 (3ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 小池義弘、田口有史●写真 photo by Koike Yoshihiro、Taguchi Yukihito

今季、本塁打王と打点王の二冠を達成した筒香嘉智今季、本塁打王と打点王の二冠を達成した筒香嘉智

●筒香嘉智(DeNA)

 初めて対戦する投手でも臆することなく、自分の持ち味を発揮できるタイプです。その点では、筒香をおいて他にはいないでしょう。パワーという点でも、彼はメジャーのなかでも平均より上の評価です。それに加えてボールを捉える技術もある。その両方を兼ね備えた打者はそう多くいません。

 彼に関していえば、昨年オフにドミニカのウインターリーグに参加したことも大きかったと思います。ウインターリーグは、各国の若手有望株が参加し、レベルも極めて高い。また中米の投手は、上半身の強さを利用したパワーピッチャーがほとんどで、打者の手元で動くムービングファストボールの使い手が多い。「こんな投手は見たことない」と戸惑っていたら、あっという間に終わってしまう。そんな環境で、バッティングに磨きがかかった印象があります。

 それに筒香は「イチ、ニ、サン」と取るタイミングが、打席のなかでどんどん合ってくる。それだけ投手に対する適応力があるということです。初めて対戦する投手が多くなるWBCでも大いに期待できると思います。

 私を含め、スカウトが打者を見るとき、まず試合前のフリー打撃に注目します。そこで、その打者に本当のパワーがあるのかを探ります。フリー打撃は、バッティング投手が打ちやすい球を投げてくるので打って当然のように思われがちですが、だからこそキッチリと捉え、スタンドに運べるかどうかを見極めます。

 今回の強化試合で印象に残った打球があります。初戦のメキシコ戦でのセンターのフェンス直撃のタイムリーツーベース。外野手が一瞬、前に出かかるくらいのライナーに見えたんですが、そこからグングン伸びていきました。まともに捉えすぎて回転が少なくなったのでスタンドには入らなかったですが、すごい勢いのある打球でした。あんな打球、日本人選手では久しく見た記憶がありません。あの捉え方ができるなら、動く球にも対応できると思いますし、まったく心配いらないと思いますね。

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