侍ジャパン強化試合が実証した「大谷翔平はメジャーでも二刀流」説 (2ページ目)

  • 永塚和志●文 Nagatsuka Kazushi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 一昨年まで2年間、楽天でプレーし、この強化試合ではオランダのコーチとしてチームに帯同していたアンドリュー・ジョーンズは大谷の頭のよさに注目していた。

「僕は、彼がルーキーだった年に見ているけど、そのときは投手としてすごいアーム(腕)をしているなと思った。だけど、今は打者としての成長も著しい。彼は自分の打てるゾーンにボールがくるまで、辛抱強く待っていられる印象がある」

 今回の強化試合でメキシコやオランダの選手や関係者をもっとも驚かせたのは、単純に速い球を投げ、遠くに飛ばすということだけではなく、ゴンザレスが言うようにすべてを兼ね備える"アスリート"だということだ。

 大谷はこの強化試合で盗塁を記録したり、味方の内野ゴロに判断よくスタートし、悠々とホームを陥(おとしい)れたり、そのスピードは両国ベンチの度肝を抜いた。

「優れたアスリートだと知っていたが、あれほどまでにスピードがあるとは......。実際に走る姿を見て驚いた」(ヘンリー・ミューレンス/オランダ監督)

 メキシコ代表で、サンフランシスコ・ジャイアンツのリリーフ投手でもあるセルジオ・ロモは、研究熱心で自らのピッチングについても映像を見て修正できる頭のよさを持つ選手だが、大谷についてはこのように分析していた。

「スカウティングレポートでは、(大谷は)積極的に振ってくると聞いていたけど、実際は非常にインテリジェントな印象を受けたよ。(対戦したときはフルカウントまでいったが)四球を引き出すため際どい球を投げさせようとしていたしね。最初にスライダーを投げたときは少し戸惑っていたように見えたけど、次に投げたときにはもう対応できていた。反対方向に打つこともできるし、打席でのバランスのよさが際立っているから、『これを投げれば打ち取れる』という球はないのかもしれない」

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