阪神はドラフト3位の「超素材型右腕」才木浩人をビッグにできるか (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Kyodo News

 要点をつかみ、整理、理解する力があるから、吸収も早い。

 今年夏の大会前にブルペンで投げる才木の投球をじっくりと見た。体格と速球派のイメージから「藤浪二世」と言われていたが、目の前の才木は、踏み出しのステップは狭めで、体の回転も美しく、テイクバックもコンパクト。そのフォームの印象から浮かんだのは、藤浪ではなく岩隈久志だった。

 事実、投球後にその感想を伝えると、「自分のなかでもそのイメージです」と言った。ところが、そのあとに加えたひと言に驚かされた。

「春まではテイクバックはもっと大きかったんです。そこを小さくして、こんな感じになりました」

 聞けば、春の大会後の練習試合で内容が悪く、このままでは夏は厳しいと感じた。そこで、球質アップ、変化球のキレを上げる目的でテイクバックを小さくしたというのだ。これまで何人もの高校生を取材してきたが、最後の夏を前にして、故障でもないのにテイクバックを変えたという話は聞いたことがなかった。

 投手にとって、テイクバックはもっとも繊細な部分と言われている。それを変えることでフォームを見失ってしまったケースは少なくない。才木に「不安はなかったのか?」と聞くと、あっさりこう答えた。

「グラブを持っている手を少し曲げたら、右手もうまくたためることがわかって、すぐにできました。それから指にかかった球がいくようになったんです」

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