阪神はドラフト3位の「超素材型右腕」才木浩人をビッグにできるか

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Kyodo News

 阪神からドラフト3位指名を受けた才木浩人(さいき・ひろと)は、直後の会見でこれからの目標について聞かれると、はっきりした口調でこう答え、会場を沸かせた。

「藤浪(晋太郎)投手を超えたいです」

この秋のドラフトで阪神から3位で指名された才木浩人この秋のドラフトで阪神から3位で指名された才木浩人 ドラフト前にも才木と話をする機会があったのだが、そのときは「大谷(翔平)選手を超えたい」と語っていた。その真意について尋ねると、才木はこう答えた。

「目標にしていたら超えられない。やるからには日本一のピッチャーになりたいので......。そのためには超えなければいけないと思っています」

 文字だけを並べれば"ビッグマウス"とも捉えられかねないが、笑顔まじりに話す表情は無邪気そのもの。野球少年の夢を聞いているような決意表明にも思えた。

 好投手が揃った今夏の兵庫で、ストレートの質ならナンバーワンと言われていたのが身長187センチの右腕・才木だった。才木の通う須磨翔風(すましょうふう)高校は、須磨高校と神戸西高校の統合により2009年に新設された県立高校で、野球部は昨年春に県大会3位、夏ベスト8など着実に力をつけており、今回の才木の指名でその存在が一気に広まった。

「父親がファンだったので、巨人の試合はよく見ていました」と振り返る幼少期。少年野球チームではおもに捕手を務め、投手になったのは中学2年の夏が終わった頃だった。聞くと、「エースがヒジを痛め、いいキャッチャーが1学年下におり、僕自身も身長が伸びてきまして......」といろんな要素が重なり、才木の投手の道が始まった。

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