日本ハム移籍「眠れる大砲」大田泰示に、9年目の大爆発は起きるのか (3ページ目)

  • 深海正●文 text by Fukami Tadashi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

"松井秀喜の再来"をファンは待望し、フロントも、監督ら首脳陣も、チームメイトも毎年、飛躍を心待ちにしていた。チャンスも与えられ、レギュラー奪取に近づいたときもあったが、一本立ちすることはできなかった。入団時からスポットライトを浴び、重圧とも戦ってきた日々を大田は「8年間やってきた思い、レギュラーを取れなかったという思い、悔しい思い、様々な思いがこみ上げてきた」と感慨に浸る。苦い思い出も多いが「毎日が充実した日々でした。自分にとっていい経験になった」と前向きさは失わなかった。

 練習中から大きな声を出して周囲を盛り上げるムードメーカー的な存在で、みんなから愛されるキャラクターだった。そして、野球選手としての資質は誰もが一目置く。だからこそ、その才能が新天地で花開くことを巨人側も願っている。

 大田を放出することには賛否両論があり「いろいろな意見があった」と堤辰佳ゼネラルマネージャー(GM)も認めた。それでも「環境を変えた方がいいという判断」と大田のことを気遣った。高橋監督も「心機一転、新しい地でプレーすることはチャンスだと思う。陰ながら応援している」と温かく声を掛けたという。

 その日本ハムで大田が大化けする可能性は十分にある。まず、日本ハムは若手を育成することに定評があり、根気よくチャンスを与える傾向が強い。結果を恐れず、持ち前の思い切りのよさを生かし、伸び伸びとプレーできる環境は追い風だ。

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