日本ハム移籍「眠れる大砲」大田泰示に、
9年目の大爆発は起きるのか

  • 深海正●文 text by Fukami Tadashi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 ところが、高卒1年目から3試合に出場するなど滑り出しは順調だったものの、そこから苦しむ。二軍では他を圧倒する結果を残せても、一軍では壁にはね返される。一軍と二軍を行ったり来たりで、2014年からは背番号も「44」に変更になった。

 長打力があり、足が速く、肩も強い。小技も苦手にしない。走攻守で持っている潜在能力が高く、どんなプレーヤーとして生き残っていくことがベストなのか、自問自答していた。一発にこだわり続けるのか、俊足を生かすために出塁することを最優先に考えるべきか。目指すものによって、打撃の形も変えていかないといけない。

大きな期待を受けながら巨人では結果を残せなかった大田泰示大きな期待を受けながら巨人では結果を残せなかった大田泰示  強く振ることに特化して技術を磨いていくのか、それとも、単打でもいいので逆方向への意識を強く持つのか。おおざっぱに言うと「1番打者」でも「4番打者」でも、どちらのタイプにもなり得る素材だ。多様なスタイルで勝負できるからこそ、照準を定めることが難しく、悩んだ。

 5日から宮崎市で始まった巨人秋季キャンプのメンバーには当初から入っており、来春のキャンプでアピールするため、下地づくりに励もうと考えていた矢先のトレードだった。

 突然の移籍に、本人も「来年のために、チームのためにと思って練習していた。びっくりするところもあった」と本音を明かす。ただ、覚悟もしていた。8年間で最も多く試合に出たのは今シーズンだったが、それでも62試合。本塁打、打点も、今季が最も多く、それぞれ4本と13打点だった。

「正直、結果が出ていないことが何年も続いてきた。1年、1年が勝負。今年の結果を見て、危機感を持っていた」

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