歓喜と悔しさを詳細にたどる、大谷翔平の「日本シリーズ8日間」 (7ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

シリーズ6戦中5試合に出場した大谷翔平シリーズ6戦中5試合に出場した大谷翔平■10月29日(第6戦)

 勝てば日本一が決まる第6戦。この日、唯一の"出番"は、4対4と同点の8回二死満塁でやってきた。打席に4番・中田翔が構えるなか、ネクストバッターズサークルで大谷はジャクソンの投球にタイミングを合わせてバットを振る。その姿に気圧(けお)されたのか、ジャクソンは中田に押し出し四球を与えてしまう。

 その瞬間、栗山英樹監督は大谷を下げ、前の回から登板していたバースをそのまま打席に送った。バースがまさかのタイムリーで追加点を挙げると、続くレアードがとどめの満塁弾で勝負を決めた。自身初の日本一を達成した大谷は、こうシリーズを振り返った。

「うれしいです。点差が開いていたので特に緊張もなかったです。最後まで勝ち抜いてシーズンを終わるのはなかなか経験できない。本当によかったと思います。8回の代打待機は、『相手にプレッシャーをかける意味でネクストに入ってくれ』と言われたので......。先発して1戦目を勝てなかったことは、もう少しできたはずだと思います。(黒田と対戦したことは)今後に生きてくればすごくいいと思いますね」

 シリーズ6試合で5試合に出場した大谷は、投手として1試合に先発し、6イニングで11奪三振の好投も3失点で負け投手に。打者としては16打数6安打、打率.375、1打点と奮闘した。大谷自身が「もう少しできたかな」と振り返るように大暴れとはいかなかったものの、誰よりも大きな存在感を示した。このシリーズで得た経験を今後どのようにして生かすのか。さらにスケールアップした姿を見せてくれるに違いない。

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