2016.11.04

歓喜と悔しさを詳細にたどる、
大谷翔平の「日本シリーズ8日間」

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

シリーズ第3戦でサヨナラ安打を放った大谷翔平■10月25日(第3戦)

 本拠地・札幌での第3戦。「3番・DH」で先発した大谷は、ついに尊敬する黒田博樹と対峙。初顔合わせは1回一死一塁の場面。三塁線を破る二塁打でチャンスメークし、続く中田翔の内野ゴロによる先制点につなげた。4回にも右中間に二塁打。6回の第3打席は一死無走者からレフトフライに倒れたが、この直後、黒田は足をつり無念の降板。大谷はプロ20年目のレジェンドと最後に対戦した打者となった。

 かねてから黒田の著書『クオリティピッチング』(KKベストセラーズ)を愛読している大谷は、憧れの投手との対戦について感慨深げにこう語った。

「降板する直前まで痛そうな素ぶりを見せていなかったですね。ただただ、すごかった。ほとんどすべての球種を見せてもらいました。いずれ自分もツーシームやカットボールといった打者の手元で動かすボールが必要になるときが来る。そのときに、参考にできる軌道があるのとないのとでは大違いですから」

 試合は2−2のまま、このシリーズ初の延長に突入。迎えた10回裏、二死一塁で打席に大谷が入った。カウント1−1から西川遥輝がスタートし、大谷は盗塁を助ける空振り。カウント1−2と追い込んだことで、広島ベンチは勝負を指示した。

 大瀬良大地が投じた内角147キロのストレートは見送ればボールだったが、大谷は迷いなくスイングすると、打球は鋭く一、二塁間を抜け、二塁走者の西川がサヨナラのホームイン。自らのバットで死闘を制した大谷は、試合後、冷静にサヨナラの場面を振り返った。

「ある程度は絞っていました。内に真っすぐかカットボールで突っ込んでくるか、低めのフォークで来るだろうと。追い込まれていたので、ストライクゾーンを広めにとって構えていました」

 つまりは、大瀬良の決め球すべてを待ちながら、ボール球でも対応できるようにしていたのだ。これはもう”離れ業”というしかない。大谷の渾身の一打で日本ハムが一矢報いたことで、シリーズの潮目が変わっていくことになる。