「手負いのラッキーボーイ」今宮健太がCSファイナルで波乱を起こす

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 短期決戦を勝つチームには必ずラッキーボーイが現れる。パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージを2連勝で突破したソフトバンクでひときわ輝きを放ったのが今宮健太だった。

 10月8日の第1戦では、2対2の同点の8回裏1アウト満塁で決勝2点タイムリーをレフトに運ぶと、翌9日の第2戦でも8回に訪れた満塁機で貴重な2点タイムリーを放った。

CSファーストステージで攻守に活躍したソフトバンク今宮健太CSファーストステージで攻守に活躍したソフトバンク今宮健太 ツイてる選手には絶好の打球も飛んでくる。第2戦の初回だ。先発のバンデンハークがロッテ清田育宏にまさかの2試合連続先頭打者アーチを食らうと、さらに二塁打と四球でメロメロ状態。無死一、二塁となり前日に2本塁打を放っているロッテの4番・デスパイネを迎えた。

 まさに勝負の分かれ目となった場面だ。ソフトバンクとしては追加点を奪われれば、相当苦しい展開になるところだった。だが、デスパイネの打球は詰まったショートゴロ。今宮は落ち着いてグラブを出してセカンドに送球。そしてファーストへと転送され、「6-4-3」のダブルプレーが決まった。初回を1失点にしのいだことで流れはソフトバンクへ傾いた。

 工藤公康監督は「前の日も初回の先頭弾から逆転したから、今日も行けると思った」と試合後にうそぶいてみせた。また、今宮からも「ほんとラッキーボーイでした。でも、それが短期決戦の強みになりますから」と自画自賛の言葉が飛び出すほどだった。

 札幌行きのキップをつかむ立役者となった今宮だが、じつはギリギリのところでの強行出場だった。

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