計算ずくめの逆転V。「指揮官の予言」で
振り返る日本ハムの4年間

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Kyodo News

 実際、去年の有原が初めて一軍に上がったのは5月15日。その日のバファローズ戦に先発し、ルーキーの中で一番乗りとなるプロ初勝利を挙げた。

 そして今シーズン、開幕前の栗山監督はこんな言葉を残している。

「ウチがホークスを越えるためには、マグマが必要。みんなは、翔平は15勝を計算済みの存在だからマグマにはなり得ないって言うけど、そんなことないよ。だって、アイツはプラス10勝をバットで稼ぎ出すことができるんだから......ホームランを20本打てば、10試合勝てる。このことは翔平には伝えたよ」(2016年春)

 中島卓也、近藤健介、西川遥輝、有原航平、そしてピッチャーの大谷翔平、バッターの大谷翔平――彼らの未来を見据えて種を撒き、水をやって雑草を抜き、光が当たる場所へ植えたのは、栗山監督だったことを、過去に紡いだ彼自身の言葉が教えてくれている。もちろんスカウティングや育成プランなど、球団としてのノウハウを併せ持っているからこそ、ファイターズの選手は育ってくるのだが、それにしても指揮官の予言めいた言葉の数々は、驚くほど現実のものとなっている。

 つまり、奇跡と言われる今年の逆転Vは、偶然の賜物などではない。指揮官の先見の明と信念がもたらした、必然の産物だったのである。

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