さらば番長。三浦大輔がプロ初登板の日に誓った「最後の真剣勝負」 (2ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 チームとしては38年ぶりとなった1998年の日本一。決して忘れられない日々。

「当時、現役生活で1回は優勝をしたいなと思ってプレーしていたんですけど、実際に優勝してみたら、こんなにいいものなのかってすごく驚いたんですよ。あのときの感動は今でも忘れることができません。もう1回、引退までにあれを味わいたいっていうのが、自分を奮い立たせるモチベーションになっているのは間違いないです。ファンも本当に喜んでくれますからね」

 日本一はプロ野球人生においてこれ以上ない蜜の味。現状、DeNAにとってその可能性は、クライマックスシリーズで下剋上するといった形で残されている。

「あとは欲を持ってやるのもプロだと思うんですよ。あんまり言うといやらしく聞こえるかもしれないけど、やっぱりお金も欲しかったし、そしたらクルマも家も手に入れたい。プロに入ったときに思いましたもん。先輩たちのクルマや豪邸を見て、いつか自分も活躍して、ああなりたいなって」

 エリートではない叩き上げゆえのこうした正直さも三浦の魅力である。プロは夢を見ることのできる世界である。そしてトップ選手は若手選手の目標となり、またファンはもちろん、プロを目指す若きアマチュアたちに対し夢を与えなければいけない。余談だが、三浦は夫人に対し「現役中はクルマとかある程度、見栄を張らせてほしい」と、お願いしているという。

「じゃあ勝って稼ぐためにはどうするか。僕は恵まれた才能があったわけじゃなかったから練習をするしかない。本当は練習なんて嫌いなんですよ。けど、しなくちゃうまくならない。練習して実力を上げ、勝つべく投球術を考えたんです」

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