「カープ爺や」安仁屋宗八OB会長が語る、広島リーグ優勝の喜び (5ページ目)

  • 寺崎敦●文 text by Terasaki Atsushi


──今年の緒方監督の采配については、昨年と何が変わったのでしょうか。

「昨年と明らかに違うのは、バントを減らしたことと、先発投手に球数100球以上を投げさせる目標を掲げたこと、後ろ3枚の投手をコンディションに応じてバランスよく確立したことですね。投打における外国人選手の起用もパーフェクトだったんじゃないかな。去年セ・リーグ優勝したヤクルトも同じような勝ち方が多かったように映りますが、決して真中監督の真似ではなく、現代の野球の戦い方を上手に取り入れた采配だったように思います。ちょっと前にKYってあったじゃない? 緒方監督は、日々の空気を読んでいるよね(笑)」

──安仁屋さんから見ると、25年前の優勝と今年の優勝で何が違いますか?

「やっぱり熱が違いますよ、熱が。昔は勝敗の行方がある程度わかると、勝っている時でさえ試合途中で帰宅しちゃう人が多かったんです。ヒーローインタビューを受けてる時には、スタンドにほとんど人がいなくなってましたから(笑)。それが今は試合が終わるまで、勝ち負けに関係なく最後の最後まで誰も帰りませんから。もう野次なんて死語で、すべて励ましに変わりました。

 数年前からカープ女子というのが流行語になって、その流れなのか、シルバー世代のおばちゃんたちも野球の魅力を知ってくれたんだろうね。真っ赤な姿で球場に足を運んで、まるで青春を謳歌しているような気がします。それと今のカープファンは、控えの選手や外国人選手もリスペクトするんです。彼らが登場するときも、新井やキクマルたちと変わらないぐらい温かな声援を送るんですよ。

 もうひとつには、チビッ子たちの応援だ。球場から帰るとき♪カープ、カープ、カープ広島♪って、小さい子たちが口ずさんで歩いているんだよね。もう、爺やとしては涙が止まらないくらいうれしいよ」

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