ホークスを最強軍団に変える。根本陸夫が果たした最後の仕事 (2ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • photo by Kyodo News

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「2月のキャンプ初日のことです。根本さんはみんなの前でこうおっしゃいました。『オレは勝つ気がない。でも、お前らひとりひとりは成長しろ。何年後かには強いチームを作る』と。ただ、その半面、古くからいる選手たちにはかなり辛辣でした。シーズンが終わると『今のチームは同好会だ。それじゃあダメだ』と言って、『チームを変えるために血の入れ替えをする』なんて言葉を平気で使っておられたし、フロントとしてFAの選手の調査などもしていました」

 その年のダイエーは45勝80敗5分けで最下位。記念すべき福岡ドーム元年を好成績で飾れなかったが、新監督は勝利にこだわるより先を見据え、チームに手を加えるところを把握していた。

 そして、同年9月から、根本は代表取締役専務と球団本部長を兼務。チームの監督兼任でもあるから、GMの職域も超える立場である。その立場で成した大仕事が、ダイエーから外野手・佐々木誠、投手・村田勝喜、投手・橋本武広を放出する代わりに、西武から外野手・秋山幸二、投手・渡辺智男、投手・内山智之を獲得した超大型トレードであった。もっとも、瀬戸山によれば、そのときの根本はさらなる大仕事に向けて動いていたという。

「根本さんはダイエーに入られたときから、『オレは基礎を作る。それでワンちゃんを呼ぶ』とおっしゃっていました。王貞治さんを連れてきて監督にするというわけです。ちょうどJリーグが発足したときで、『このままでいくと野球はサッカーに負ける。巻き返すためにはON対決しかないんだ』と。つまり長嶋茂雄さんが監督の巨人と、王さん率いるダイエーとの日本シリーズが野球界全体を盛り上げる、という考えをお持ちだったんですね」

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