サブローからマリーンズへの伝言「Have Funの精神を忘れずに」 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

 一軍にいればナイターが多いため夜型の生活サイクルになるが、ファーム暮らしでは朝早く起床しなければならない。本人は「規則正しい生活になりました」と笑うが、一軍昇格の希望を失いかけながらも親子ほど年の離れた若手と汗を流す日々は、味わった者にしかわからない感情が渦巻いたに違いない。

「正直言ってキツイですね。キツイけど、これが僕の仕事なので、やらないといけない。ファームはデーゲームなので、コーヒーの量を減らして、今まであまり飲まなかったスポーツドリンクを飲むようにしたり。熱中症で倒れないように体調管理していました」

 プレーヤーとしては辛苦を味わっていたサブローだったが、この雌伏の日々は野球人として「勉強になったし、楽しかった」という。明日のマリーンズを担うであろう才気あふれる若者たちに、サブローは惜しみなく助言を送った。

「『こう言っておけばいいだろう』と思って伝えたことでも、人によっては『ここまで言わないと伝わらないのか』と想定外のこともいっぱいあって、いい経験になりました。子供に教える感覚ですね(笑)」

 言うまでもなく、プロ野球選手は個人事業主である。チームメイトとはいえ、自分の仕事を奪いかねないライバルに塩を送る義務はない。それでも、サブローは若手に積極的にアドバイスを送り続けた。

「すぐ上(一軍)でそこそこ結果を出せるような子も何人かいますよ。余裕があれば、一軍で使ってほしいくらいですね」

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