2016.09.22

セ・パとも1年目の野手なら
「原、石毛」以来35年ぶり。どうなる新人王

  • 高橋アオ●文 text by Takahashi Ao
  • photo by Kyodo News


── となると、やはり投手が圧倒的に有利なのでしょうか。

「レベルの高いプロ野球界に入るわけですから、どの選手もアマチュア時代のようなプレーを見せることはほぼ無理です。でも、野手の場合はそれがより難しい。相手の投球も守備の質も上がりますから、ヒットになったと思う打球も捕られてアウトになってしまいます。

 これに対して投手の場合は、本当に力のある投手であれば、自身の投球がよければ結果が出ます。力さえあれば新人であれ、何年目であれ勝てるチャンスがある。そういった点で、新人らしいリスクを恐れないプレーぶりも含めて、ガンガン勝ち星を重ねて投手が新人王を勝ち取るケースが多いのだと思います」

── そのように野手に不利な状況のなかで、今季の新人王争いでは高山選手と茂木選手が台頭した理由を教えてください。

「今シーズン、高山選手と茂木選手が新人王を争うことができているのは、両チームの起用方法が大きいですね。そもそも起用されないと結果が残りませんので、そのときのチーム状態に左右されます。例えば、茂木選手の場合は楽天のショートが空いていたため、出場することができました。仮に、そのポジションに押しも押されもせぬレギュラーがいたら、茂木選手は出てこられなかったわけです。

 高山選手についても、もしタイガースの外野のポジションに、ガチッと固まった選手が3人いたらこれほどの活躍は難しかったでしょう。もともと力があったとしても、起用法ひとつで野手は出てこられません。この2人はチャンスがあったうえに、ポジションをつかみ取る力があったから新人王候補になっているわけです。ですから、チームのポジションに空きがあるとか、確固たるレギュラーが不在などの運の要素も大きいですね」


── 今シーズン開幕の時点で、鉄平さんの目から見て「この選手はいいな」という新人選手はいましたか。

「僕は野手なので、どうしても野手に目がいってしまいます。高山選手、茂木選手以外では、オリックスの吉田正尚選手がいいと思いました。彼ら3人にはプレーの強さがあり、なかなか練習では身につけることができない天性のものを感じます。一番重要なのは打撃ですね。バッティングがよくなければずっと使い続けてもらえません。その点、彼らは新人選手らしからぬ目を引くようなスイングの鋭さがありますね」

── 新人野手たちの守備面はどう評価していますか?

「特に茂木選手には大きな期待をしています。ショートは野手のなかでも特殊なポジションであり、誰にでもできるポジションではありません。ですから、新人の時からショートをずっとこなせる選手が出てきそうだということは、チームにとってかなりの好材料です。ショートが固まらないとチームは安定しないので、今から10年から15年は『楽天のショートは茂木選手』と言われるような、押しも押されもせぬ存在になってほしいですね」

 もし両リーグの新人王がどちらも野手になった場合は、1996年の仁志敏久(巨人)、金子誠(日本ハム・当時3年目)以来となる。また、両リーグとも新人(1年目)の野手が受賞したケースとしては、1981年の原辰徳(巨人)、石毛宏典(西武)以来、じつに35年ぶりとなる。一方で、日本ハムの高梨も激しい優勝争いのなか、負けられない登板が続く。新人王レースの結末は、はたしてどうなるだろうか。

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