野村弘樹が語るDeNAの初CS「須田とタナケンの存在は大きい」 (3ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by ©YOKOHAMA DeNA BAYSTARS

 ブルペンは木塚敦志投手コーチのもと、本当にギリギリの戦いをしたと思います。木塚コーチは愛情が深くて選手を第一に考える男なんで、ブルペン陣も意気に感じて投げていたんじゃないでしょうか。「つらくてもここは厳しく行かなければいけない」と選手と一緒に戦っていたことでしょうし、1年間、本当に大変な仕事をしたと思います。

 ですから投手陣は、先発とブルペンを含めて総合力で1年間を乗り越えることができた。また守護神の山﨑康晃ですが、8月頭の阪神戦で打ち込まれて以来、調子を崩してしまいましたが、これもブルペン全体で乗り切ったという感じですね。

 いずれにせよ、ラミレス監督は信頼した選手を我慢して使い続ける傾向があり、それが功を奏し、チーム力向上につながっているんだと思います。常に前向きでポジティヴな発言をすることで、選手たちも信頼に応えたいとその気にさせる。

 新人監督はあれこれ手を入れたがるものですが、ラミレス監督は、こうと見極めたら決していじらない。苦しんだとは思いますが、コーチ陣としっかり話し合い、選手たちとコミュニケーションをとり信頼関係を築き上げた。試行錯誤を重ねることもあったでしょうが、とにかく我慢強い采配を見せた。

 今年のセ・リーグは、広島が頭ひとつ抜けた存在でしたが、ほかの5チームは団子状態でした。巨人は戦力が整わず、阪神は世代交代がうまくいかず、ヤクルトは故障者が続出し、中日は谷繁元信監督が休養するといった不測の事態が起きるなど、DeNAにとってはラッキーな部分があったことは間違いありません。ただ、そうしたなかで粘り強い戦いを見せたことが大きかったですね。

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