台湾のレジェンド選手・張泰山が語る「日・台・韓」の野球の実力 (5ページ目)

  • 阿佐智●文・写真 text & photo by Asa Satoshi

── あのアテネ五輪は私も足を運んだのですが、台湾のファンとチームの一体感をスタンドで感じることができました。オリンピックだけでなく、国際大会では台湾のファンと代表チームの「近さ」をいつも感じるのですが、そのファンの応援は励みになるのでしょうか。

「もちろんです。代表レベルでも、スタンドを見て、いつも応援してくれる熱心なファンの顔はわかりますよ。『あの人、また来てくれたよ』ってね。それは台湾の文化だと思います。台湾では選手とファンは友達みたいな感覚なのです」

── あれ以来、日本のプロ野球も国際大会に本格的に参加するようになりました。野球の国際化が進むなか、台湾はこの10年くらいはなかなか結果を出せていません。それについてはどうお考えですか。

「まあ、それが野球というものです(笑)。勝つときもあれば、負けるときもあります。幸い台湾のファンは熱しやすく冷めやすいのか、すぐに忘れてくれるんです(笑)。たしかにここ数年、台湾野球はうまくいっていませんが、決して下手になったわけではありません。つまり変わっていないということです。

 台湾では、選手は引退するとすぐに指導者になることが多いんです。たとえば韓国なら日本やアメリカでコーチ修行することが多い。日本もメジャー帰りの人がいますし、そういう人たちが新しい情報を持ち込んでくれる。日本や韓国は、年々プラスアルファがあるのに対して、台湾は野球の勉強をする機会に乏しいんです。そのあたりの違いがあるんじゃないでしょうか。

 あとは国際大会に対するスピード感がないですね。来年のWBCに向けて、日本はもう監督が決まっているでしょう。あと半年しかないのに、台湾はまだ監督も決まっていないんですよ」

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