ホークスOBが広島カープに贈る「優勝からCSまでの過ごし方」 (3ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • photo by Kyodo News

 当時は、調整や日々の過ごし方も、何か特別なことをやったわけじゃありませんでした。普段と同じように練習して、登板日までを逆算して過ごすだけ。特別なことをしたからといって、劇的に変わることはないですから。できる限り、いつも通りのことをやろうと心掛けていました。

 だけど緊張感がないから、まったりとした時間になってしまうんです。それが難しかった。それにCSファーストステージから勝ち上がってくるチームは勢いもあるし、ある意味捨て身というか、怖いものなしで向かってくる。

 それに04年のホークスは、すべてが初めての経験でしたし、対策をとりたくても何をすればいいのかがわからなかった。「何が正解で、何が間違っているのか」「不安はないけど、期待もなかった」。僕もチームも、そんな独特の空気が流れていたように思います。

 その前年(03年)に日本シリーズを経験していましたが、日本シリーズとCSは同じ短期決戦でもまったく別もの。今まで感じたことのない、新しい空気感だったなと思います。

 カープがCSファイナルを勝ち抜くには、"初め"が大事になると思います。"先制点"だったり、"初回"だったり、"第1戦"だったり......。早いうちに自分たちの流れに持ち込む、シーズン通りのゲーム運びができれば、気持ちは落ち着く。短期決戦だから当たり前のことではありますけど、まずは早い回に先制することが大事でしょうね。

 今シーズンのカープはずっといい形で戦ってきましたから、逆に少しのズレがとても大きなものに感じてしまう不安はあります。ただ、セ・リーグを圧倒的な強さで勝ってきたチームですから、間違いなく力はあります。誰がいいきっかけを作るのか。そこが大きなポイントになると思います。

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