ヤクルト逆転CS滑り込みへ、高校野球みたいな「チーム一丸」 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「僕としても、5月から7月はすごく苦しんで、なかなか乗り切れない時期でしたが、そのなかで主力がケガで抜けた。チーム全員が強い気持ちを持って団結する必要を感じたので、周りに目を配りつつ、ひとりよがりにならないように、みんなで盛り上げる意識を持ってやってきました。9月もそういう試合をしていきたいですね」

 8月の勝ち越しは、小川の復調も大きかった。3連続完投勝利など4勝0敗、防御率2.08と、それまでの苦しみがウソのように見事なピッチングを披露した。

「(課題としていた)クイックにトライしたことがプラスになったと思います。試合のなかで余裕が生まれて、スムーズにいくようになりましたし、攻めのピッチングもできるようになりました」(小川)

 小川の気持ちは、野手陣にも伝わっていた。

「小川はクイックだったり、マウンドで工夫しているのが野手にもわかりますからね。だから、なんとしても勝たせたいと思いました。それに、小川が3連続完投してくれたことでブルペンも休めた。先発の石川(雅規)さん、山中(浩史)さんもしっかり投げてくれて、中継ぎ陣もフル回転でやってくれた。8月は投手陣のおかげで粘ることができました。今はチームがすごくいい方向に進んでいますよね」(飯原) 

 9月2日の神宮球場──。飯原は出場機会になかなか恵まれないなか、この日も誰よりも早くグラウンドに姿を見せ、早出のティーバッティングで汗を流していた。

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