「何も変わってない」と語る
ロッテ石川歩は、なぜ無双状態なのか

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 そして石川に小林コーチの言葉を伝えると、またしばらく考え込んでから口を開いた。

「(メリハリは)ずっとやりたかったけど、できなかったことなんですよね。最初は抜いているとか......。今年は、1試合のトータルで見たプランニングはわからないですけど、できているときはあります。ただ、それがどうしてできているかがわからないので......」

 石川に話を聞いているとき、「スーパーピッチャー!」と2度も声をかけてくる選手がいた。その声の主は、ジェイソン・スタンリッジだった。今シーズンからロッテの一員となった来日9年目のベテラン右腕に、石川のピッチングについて聞いてみた。

「本当に飛躍的な成績を残していますが、球種や球速はこれまでとほとんど変わっていません。大きな要因はなにかといえば、マウンドで自信を持っていることだと思います。投げたあとの結果を恐れずに、ただリラックスして自分の投球に専念できている。メンタルの部分をしっかり整え、マウンドで自分をコントロールできている。あとは、相手チームに『今日は石川だからタフなゲームになるな』と。そういうイメージを彼らの頭のなかに植えつけることができているんじゃないかな」

── 石川投手自身は、これだけの成績を残していても「投げるのが怖い」と言っていました。

「自分をしっかりと見つめているからでしょうね。もっと成長しよう、もっと学んで上を目指そう。そういう気持ちがあるから、"怖い"という言葉になるんでしょう。心のなかでは『バッターを打ちとってやるんだ』と自信がみなぎっているはずです。自信がなければ、あれだけの投球はできません。私もプロになって20年近くなりますが、常に『上達するんだ』と向上心を持って取り組んでいます。これはプロとしてとても大事なことなんです」

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