「何も変わってない」と語る
ロッテ石川歩は、なぜ無双状態なのか

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 そして少しの沈黙のあと、「強いて言うなら」と話を続けてくれた。

「勝った試合の次の登板でも抑えることができている。これがいいのかなと。昨年、一昨年はいい結果がなかなか続かなかったので......。ただ、それがなぜできているのかは、僕も知りたいところです。球種も増やしていませんし、平均球速は少し上がりましたけど......。これも強いて言うなら、フォームとボール(球速)にギャップが出てきたかもしれません。今シーズンは、軽く投げる感じでも球がいっている。それ以外は、ちょっとわからないです」

 試合で石川が投げる球種は、真っすぐを軸に、シンカー、カーブ、スライダー。これは昨年とまったく同じで、その割合も大きな変化がない。球速も150キロを超えるボールが少し増えた程度である。

 第三者の目に、石川のピッチングはどう見ているのか。小林雅英投手コーチに聞いてみた。

「大きな変化があったのではなく、やはりここまでの積み重ねですね。球種も増えていませんし、球速が大きく上がったわけでもない。よくなったのは、ゲームの組み立てというか、メリハリですね。大事な場面で自分のボールをしっかり投げられるようになった。昨年までは、途中までよくても大事なところで甘くなって打たれていた。この違いですね」

── 石川投手の成績を見ると、過去2年間、開幕1カ月はすばらしい数字を残しています。ただ、5月以降になるとやや下降気味になる傾向がありました。

「そこはずっと言ってきた課題でした。体のスタミナ、心のスタミナ。今年はそこを克服しましたが、でも、この時期になると体も小さくなってくるので......。まだ万全ではないし、ちゃんとしたものが出来上がりつつあるところです。まだまだですね(笑)」

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