ラミレス監督が語る今季
「5月3日がターニングポイントだった」

  • 村瀬秀信●文 text by Murase Hidenobu
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro寺崎敦●協力 cooperation by Terasaki Atsushi

―― おそらくあそこから巻き返せるとは思っていた人は誰もいなかったかもしれません。ですが、あの5月3日。どん底の状態の完封負けで借金11になった試合後の会見で、「まだひっくり返せると信じています」とラミレス監督が言っていたのは、根拠のないポジティブだったのか、それとも本当に確信があってのことだったのでしょうか?

ラミ 決して強がっていたわけじゃありません。負けている中でも、自分のチームや選手のことを把握しはじめていましたし、他球団の選手と比較した時にも決して負けていないという確信がありました。いま思えば、やはり "5月3日"がターニングポイントでしたね。覚えています。あの日の試合前、選手たちがベンチから出てこないで外野の方から出入りする姿が目立ったんです。調子が悪い中でメディアの人たちの前を通りたくなかったのでしょう。その頃の報道は、やはり......まぁ彼らもビジネスで書かなければならないのでそれはしょうがないとは理解しているのですが、選手たちには逃げずに前を向いてほしかった。だから、試合前の全体ミーティングで言いました。『最下位だからって、打てていないからって、恥ずべきことは何もない。顔を上げたまま堂々とベンチからグラウンドに入って戦っていこう』と。

―― その翌日に当初キーマンになるはずだった梶谷が一軍に復帰すると、そこから15勝4敗1分の大進撃で5月28日までに借金を完済しました。まさに信じる者は救われるですね。

ラミ カジが帰ってきたことで私自身も非常にエキサイティングな気持ちになりました。復帰してすぐにお立ち台に上がり、ホームスチールも成功させたりと、うまく機能してくれたことで勢いに乗れましたね。投手陣もエースの山口が復帰すれば、ベストなピッチャーを揃えることができると思っていましたし、石川が戻り、カジが故障から復帰してセンターラインと、ラインナップが固定できはじめたときには『やはり逆転できる。これまでの借金をひっくり返せるだけのチーム力は十分にある』と確信しました。

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