チーム防御率ダントツの最下位。
石井一久が語る"ヤクルト投壊"の理由

  • 和田哲也●文 text by Wada Tetsuya
  • 共同通信社●写真 photo by Kyodo News

 杉浦稔大も球のキレ自体はいいし、小川もエースの働きができているとはいえないけど、1年ローテでまわっていければ十分な成績が残る投手。なんせ打線がいいですから、先発陣にある程度のメドがつけば巻き返しのチャンスは十分にあります」

 チーム打率は.266で、首位の広島(.272)に次ぐ2位。あらゆる打撃部門のトップに君臨する山田、川端、バレンティンといったおなじみの顔 ぶれに加え、打撃好調の大引啓次、オリックスから加入した坂口智隆もヒットを量産している。しかし、失点が多い試合がこれからも続くと、頼みの野手陣たち が先に息切れしてしまいそうだが......。

「ヤクルトの野手陣には、そういうストレスが溜まっていないんです。溜めない選手が多いといったほう がいいかな。失点が多い試合が続くと『何点取れば勝てるんだよ』と嫌気がさす選手が出てきたりするものですが、ヤクルトは逆に『ピッチャーが点を取られる なら取り返してやろう』という、"補う気持ち"が強くなるんですよ。野手と投手の間に不穏な空気が流れないというのは、ヤクルト特有の強さなんじゃないか なと思いますね」

 首位・広島の背中は遠いが、3位のDeNAまでの差はわずか3.5ゲーム。好調野手陣がチームを支え、そのうちに投手陣が調子を上げることができれば、クライマックスシリーズ出場は十分にありえる。下剋上からのリーグ連覇に向け、ヤクルトの逆襲が始まる。

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