都立高から初の球宴。ヤクルト秋吉亮はタフな「でんでん太鼓」 (6ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 その原因を辿っていくと、2つのポイントがあるようだ。

 秋吉は自身のフォームについて「腕は開いていますけど、肩は開いていません」という。左ヒジからグラブにかけては開いていても、左肩で開きを抑えているから問題ないというのだ。登板後、秋吉は右投げにもかかわらず、左肩が張ることもあるという。

 そしてもうひとつ。秋吉の「手首の使い方」に秘密があった。

「僕はリリース時の手首と、ちょっとした体の向きでボールをコントロールしています。右バッターのインコースなら、体をちょっと開いて、手首を少しシュートぎみに効かせて投げる。アウトコースはボールの握りの間隔を狭めて、手首を外のほうへ効かせる。これだけです」

  つまり、インコースもアウトコースも同じリリースポイントで投げ分けているということだ。サイドスローの投手に多いのが、「ボールを短く持てばインコー ス、長く持てばアウトコース」というように、リリースポイントを変えることでコントロールをつける方法。この投げ方だと、リリースした瞬間に打者はある程 度、コースを予測することができる。だが、秋吉の投げ方では、バッターはリリースの瞬間ではボールがどのコースに来るか予測できない。しかも、秋吉は同じ リリース地点からスライダーやチェンジアップなどの変化球まで投げてくるのだ。

 今春3月、侍ジャパンに招集された秋吉は、チャイニーズタイペイ戦に登板。1イニングを投げ、3者連続三振を奪っている。チャイニーズタイペイの打者が秋吉のボールに、まったくタイミングを取れていないことがうかがえた。

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