セ独走の広島。最強カープ打線の秘密は「盗塁革命」にあった (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

 一方、相手チームは広島の盗塁についてどう感じているのか。DeNAのベテラン投手の久保康友は「僕の想像ですけど……」と前置きした上で、次のように語ってくれた。

「盗塁数が多いのは、今年はたくさん打って出塁率が高いからですよ。走るチャンスが去年とくらべて多い。走って1点を取る野球ということは、昔と変わらないですよ。成功率が高いのは、数多く盗塁をすることでコツを覚えた選手が増えたとか……。盗塁の経験を重ねることで前回よりもよくなるだろうし、失敗しても何度も繰り返さない。ピッチャーのフォームの違いも、2回目より3回目の方が気づくかもしれない。僕自身は広島だからといって、特に意識はしません。僕は常に打たれることを前提に、ランナーがいるのが当たり前だと思っているので、盗塁しようがしまいが、それは相手の戦術であって、なにかを変えるということはないです」

 1997年、前出の河田コーチは、西武の外野手として13個の盗塁を記録した。この年、西武はチームとして200以上の盗塁を記録し、リーグ優勝を果たした。河田コーチは言う。

「あのシーズンは松井稼頭央がいて、清水(雅治)さんがいた。今は当時よりもクイックがうまくなっているので、シーズン200個は厳しいけど、スピードということではそのときの西武と似ているかな。僕としては、選手たちはもっと走れる能力があると思っているけど、あまりガツガツしすぎないように心掛けています」

 今年の広島打線は得点への流れが見事で、まさに“線”として機能しているのがよくわかる。その大きな要因として盗塁への意識の高さがあるのは間違いない。25年ぶりのリーグ制覇に向け、カープナインがダイヤモンドを駆けめぐる。

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