「伏兵」さえも恐るべし。城所龍磨の爆発に見るソフトバンクの競争原理 (2ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • photo by Kyodo News

「3年前に『変わらなきゃ』と思って、本格的なウエイトトレーニングを行ないました。それは筋肥大系で、体つきはどんどん変わっていきました。だけどなかなか結果が出ず、去年は2度も大ケガをしてしまいました」

 オープン戦での死球骨折。8月には一軍昇格した最初の出場試合で左肩を亜脱臼してその後手術に追い込まれた。昨季の一軍出場はわずか1試合だけ。「次のシーズンの契約はあるのか......。オフを迎えるまでは不安でした」とその心境を吐露するほどだった。ウエイトトレーニングが直接関係したわけではないし、城所自身も間違っていたとは思っていない。若い時期は技術練習が中心だったために、体はずっと細かった。

「3年前のトレーニングのおかげで基礎体力をつけることができました。でも、今年1月、西岡(剛)さんらと自主トレをしたときに、西岡さんのトレーナーさんから『城所くんはスピードを生かしたプレーヤーだろう。ならばボディービルダーのようなそのカラダは違うと思う。トレーニング方法を見直そう』と言われたんです」

 走るメニューはダッシュが中心。ウエイトも軽めながら回数やその速さを工夫するなど「きつくて吐いたこともあった」という瞬発系のトレーニングを繰り返した。

 遠回りこそ近道、と城所は言った。体重は昨年から6キロ減の75キロ。かつて、先輩の川﨑宗則(現シカゴ・カブス)が「ジャッカル」と呼んで可愛がっていた頃のような、キレ味抜群の体を取り戻した。加えて、筋肥大の頃に作った基盤も体の内側には残っている。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る